経営管理ビザの更新期間は、1年・3年・5年のいずれかです。
できれば3年更新を取りたい、そう思っている経営者の方は多いと思います。
しかし実際には、希望通りに3年更新が取れず、1年更新にとどまってしまうケースが少なくありません。
「なぜ1年しかもらえなかったのか」「次は3年を取るためにどうすればいいのか」――この記事では、1年更新になってしまう会社の特徴と、3年更新を取るための条件をわかりやすく解説します。
1年更新と3年更新、何が違うのか
まず前提として、更新期間は申請者が選べるものではありません。
審査の結果として入管が決定するものです。
入管は、会社の経営状況・法令遵守の状況・事業の継続性などを総合的に判断して、「この会社・この経営者には何年間のビザを与えるか」を決めています。
つまり、3年更新を取れるかどうかは、申請書類の出来栄えよりも日常の経営管理の積み重ねによって決まります。
1年更新になってしまう会社の特徴
1年更新にとどまる会社には、いくつかの共通した特徴があります。
ひとつひとつは大きな問題ではなくても、複数重なることで「もう少し様子を見ましょう」という判断につながってしまうことが多いです。
特徴① 社会保険の加入が遅れていた・滞納があった
社会保険の加入が遅れていた経緯がある、あるいは保険料の支払いが滞ったことがあるという会社は、1年更新になりやすい傾向があります。
現時点で解決していても、「過去にそういう時期があった」という記録が審査に影響することがあります。
特徴② 売上や利益に波がある
単年の赤字だけでなく、売上や利益の波が大きい会社も1年更新になりやすい傾向があります。
「今年は良くても来年はどうなるかわからない」という印象を与えてしまうからです。
売上の波がある場合は、その理由と今後の見通しをきちんと説明できる状態にしておくことが大切です。
特徴③ 雇用体制が整っていない
常勤職員がいない、労働契約書が整備されていない、勤怠管理の記録がないといった状態も、1年更新につながりやすいポイントです。
2025年10月の法改正以降は、常勤職員の雇用が要件として明確化されています。雇用体制の整備については、こちらの記事の第4章で詳しく解説していますので、確認しておくことをおすすめします。
→「経営管理ビザの更新は『書類』だけでは通らない時代へ――社会保険・雇用体制・事業継続性の整え方」
特徴④ 会社の実態が薄く見える
事務所の実態が乏しい、取引記録が少ない、ホームページや会社案内がないといった状態も、審査官に「この会社は本当に動いているのか」という印象を与えてしまいます。
特徴⑤ 経営者の常勤性に疑問符がつく
海外への渡航が多い、別の会社との兼務が多いといった状況で、その会社に常勤しているかどうかが曖昧な場合も1年更新になりやすいです。
特徴⑥ 理由書の説明が不十分
気になる点があっても、理由書でその説明がされていない場合、審査官としては判断材料が少なくなります。
結果として「もう少し様子を見よう」という1年更新につながることがあります。
3年更新を取るための条件
では、3年更新を取るためには何が必要なのでしょうか。
3年更新が取れている会社には、共通した条件があります。
条件① 社会保険に加入していて、保険料の支払いも滞りない
これは3年更新の最低条件といっても過言ではありません。
加入しているだけでなく、保険料の支払いも継続的に滞りなくできていることが大切です。
条件② 常勤職員を適切に雇用している
2025年10月の法改正以降、常勤職員の雇用は要件として明確化されました。
日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等を常勤で雇用していることが求められます。
パートやアルバイトはカウントされないので注意が必要です。
条件③ 税金をきちんと納めている
法人税・消費税・源泉所得税など、すべての税金が滞りなく納付されていることが必要です。
納税証明書に問題がない状態を継続することが大切です。
条件④ 事業の継続性が説明できる
売上の推移、取引先との関係、今後の事業見通しなど、「この会社はこれからも続いていける」という根拠が説明できる状態になっていることが重要です。
条件⑤ 経営者の常勤性が証明できる
その会社の経営に日常的に関わっていることを、出勤記録や業務日誌、打ち合わせの記録などで証明できることが求められます。
条件⑥ 労務管理の記録が整っている
労働契約書、就業規則、勤怠記録など、雇用に関する書類がきちんと整備されていることが大切です。
これらが揃っていると、「きちんとした経営管理をしている会社」という印象を与えられます。
1年更新から3年更新に切り替えるために
現在1年更新の状態にある方が、次回3年更新を目指すためには何をすればいいのでしょうか。
まずやるべきことは、なぜ1年更新になったのかの原因を把握することです。
不許可の場合と違って、1年更新の場合は明確な理由が通知されないことがほとんどです。
行政書士や社労士に相談して、「どこに問題があったのか」を一緒に整理してもらうことをおすすめします。
原因が把握できたら、次の更新までの期間を使って、ひとつひとつ対処していきます。
社会保険の状態を整える、雇用体制を整備する、経営記録を積み上げる――1年という時間を有効に使って、「3年更新が取れる会社の状態」を作っていくことが大切です。
3年更新を目指すための具体的な準備スケジュールとチェックリストについては、こちらの記事の第7章で詳しくまとめています。次の更新に向けた準備の参考にしてみてください。
→「経営管理ビザの更新は『書類』だけでは通らない時代へ――社会保険・雇用体制・事業継続性の整え方」
3年更新を取り続けるために大切なこと
3年更新を一度取れたとしても、次の更新でも3年をもらえるとは限りません。
大切なのは、3年更新が取れる状態を継続的に維持することです。
そのためには、社労士・税理士・行政書士と継続的な顧問契約を結んで、日常の経営管理を専門家と一緒に整えていく体制を作ることが一番の近道です。
更新申請のときだけ専門家に頼るのではなく、日頃から連携して「更新が通る会社」の状態を維持していくことが、安定した経営の基盤になります。
まとめ
1年更新になってしまう会社には、社会保険・雇用・税金・事業継続性・経営者の常勤性・理由書の説明不足という共通したパターンがあります。
これらはどれも、日常の経営管理のなかで対処できるものです。
3年更新を取るための条件は特別なものではありません。
日本のルールを守って、きちんと経営している会社であることを、実態として積み上げていくことです。
1年更新の状態にある方も、今から動き始めることで次の更新では3年を目指せます。
気になることがあれば、早めに専門家に相談してみてください。
